ウソツキ

またこうして終止符を打った
僕の部屋の蛍光灯
思い出す今日のこと
誰かが吐いたあの時の台詞

目を閉じると聞こえ出す
網戸に挟まる虫の鳴き声
掻き毟る傷の痕
昔よく見た気味の悪い夢

流れ出したものはきっと
「初めて」の証じゃない
嘘ついたって別に咎めないさ
僕も同じくらいウソツキだから

光と影のその境界線を
目を瞑って歩いてるんだ
バランス崩したその先が
影の方でないことを祈りながら

優しい言葉をいくら並べても
生き死にの類には勝てないんだ
なら君になんて言えばいい
あの時君になんて言えばよかったの


この部屋のドアを開いたら
何処へでも飛べるのは事実で
あとは僕がどれくらい
それを信じられるかどうかなんだって

溢れ出したものはきっと
無償の愛なんかじゃない
向こう岸を泳ぐ君を
眺めるだけじゃ足りなくなって

光と影のどちらでもなくて
目を瞑っても見えるものだった
大切にしたくてきっと
胸の奥の何処かしまい込んだ

狡さを拒んで苦しんでみても
それすら戯曲になってしまうんだ
なら君になんて言えばいい
あの時君になんて言えばよかったの


光と影のその境界線を
怯えながら歩いてるんだ
バランス取ろうと差し出した
両手の先に君を描きながら

美しい言葉をいくら並べても
ぬくもりの類には勝てないんだ
なら君になんて言えばいい
あの時君になんて言えばよかったの

狡さを拒んで苦しんでみても
それすら君を騙しているようで
なら君になんて言えばいい
今君になんて言えばいいんだろう